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令和3年度 事業計画

1. 基本認識

2019年12月に中国・武漢に端を発した新型コロナウイルス感染症は、その後、国内外で想定外の拡大を見せた。各国では、感染症の拡大を防止するため、外出制限をはじめとする公衆衛生上の措置を講じたことから、特に2020年前半において、経済活動はグローバルに大きな制約を受け、その結果、同年の経済成長率は歴史的な落ち込みとなった。

 2021年度に入っても、依然として、新型コロナウイルス感染症の終息は見通しがたい状況にある。こうした内外における感染症の影響から、わが国の経済は、引き続き厳しい状態にあるが、各国の財政・金融政策に加え、ワクチン接種の効果が期待されるもとで、基調としては持ち直している。

 ただし、国内の経済動向をより子細に見ると、回復のペースには、業種間のばらつきが大きい。すなわち、製造業では、自動車、半導体関連の世界的な需要の増勢等を主因に、回復基調が鮮明である。一方、非製造業では、いわゆる巣ごもり需要が目立ち、財需要の堅調さは見て取れるものの、感染症の影響を受けやすい対面型サービス部門に対する下押し圧力は極めて強い状況にある。

 こうしたもとで、鹿児島に目を転じると、全国対比で、回復の足取りはより緩やかとなっている。これは、当地経済が、宿泊、飲食などの対面型サービス部門や、農業、養殖、食品加工など、県内外の外食需要に応える分野のウェイトが高く、今回の感染症の拡大の影響がより直接的に顕れているためと考えられる。

 もっとも、このように厳しい情勢にもかかわらず、企業倒産・廃業が急増するには至っていない。また、雇用面では、対面型サービス部門を中心に弱めの動きが見られるとはいえ、大きな調整の動きは広範化していない。こうした背景の一つは、企業が、需要減少に伴うキャッシュフローの急激な悪化に対し、支出抑制を図り、また制度融資等も活用しながら、資金繰りを安定させ、事業継続を図っていることである。加えて、懸案の経営課題である人手不足を踏まえ、中長期的な視野に立って、雇用調整助成金等も活用しながら、雇用を繋ぎ止めようと努めていることも強く作用している。

 鹿児島においては、2020年4月、復元後の「鶴丸城御楼門」が一般公開となり、当地の新しいシンボルとしてよみがえったほか、同年8月には、薩摩川内市の甑島列島の中甑島と下甑島をつなぐ、県内最長の「甑大橋」が開通し、観光振興への寄与も期待されている。また、2021年3月には、九州新幹線鹿児島ルート全線開業10年を迎えたほか、同年半ばには、奄美・沖縄の世界自然遺産登録も期待されている。

 このように、当地を巡る前向きな話題が少なくないもとで、コロナ禍に伴う経験や、社会全体としてデジタル化を推進していく機運等を前向きに活かしていくことが重要である。同時に、人口減少や高齢化の進展、またグローバル化やSDGs達成に向けた要請の強まりなど、経営環境を巡る構造的な動きを改めて認識し、将来に向かって必要な取り組みを着実に進めていくことが求められる。

 こうした観点から、鹿児島経済が乗り越える主要な課題としては、まず、人口減少に伴う域内需要減衰への対応があげられる。当地の産業構造の特性を踏まえれば、域外需要の掘り起こし・拡大をいかに効果的に図っていくかが重要と考えられる。感染症の影響から、当面、厳しい局面が続くと見込まれるが、平時に復した際に速やかな需要の取り込みが実現できるよう、実効性のある準備が欠かせない。

 その際、外国人観光客の取り込みや特産品等の輸出拡大などに関する既往の取り組みを冷静に振り返るとともに、安心・安全や健康、また身近な地域の歴史・食・文化への関心の高まりなど、コロナ禍に伴う人々の意識や行動様式の変化についても、分析・評価の上、必要な対応を図っていくことが必要と考えられる。消費者の行動変化に関しては、特に、インターネットを経由した購買が不可逆的な拡大を見せる中、高齢層の動きや、外国人による、いわゆる越境ECの拡大も看過できないポイントである。当地は、食文化や歴史・文化遺産、温泉、自然など、質の高い素材に溢れているだけに、必要に応じて他地域の取り組みも参考に訴求力を一段高めつつ、それらの魅力を最大限、効果的に引き出していきたい。

 また、人手不足への対応も急務である。既述の通り、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う需要減少のもとでも、雇用意欲は総じて根強く、人手不足への対応を引き続き懸案の課題とする企業は少なくない。

 この点、コロナ禍に伴う人々の働き方や居住地等に対する意識の変化は、若者の県外流出の流れを巻き戻すことを含め、UIJターンを一段と促す好機となり得る。加えて、女性や外国人の積極的な登用など、ダイバーシティの推進に加え、これに適した働き方の多様化や副業人材など外部の知見の活用を一段と図っていくことも、量的な面ばかりでなく、質的な観点からも、人手不足、人材不足に対する有効な手立てになると考えられる。

 同時に、情報技術の活用やその活用方法の高度化等を通じ、ビジネスモデルの変革や生産性の向上を図っていくことも重要である。こうした対応は、イノベーションの発揮という点でも有用と考えられる。当地では、関連する取り組みに拡がりが見られてきており、コロナ禍によって、むしろ、そのスピードが加速度を増しつつあるように見受けられる。今後も、スピード感を持って取り組んでいきたい。

 こうしたもとで、グローバルな動きに着目すると、国・地域間の様々な対立や摩擦を伴いつつも、融合・深化の動きは今後も進んでいくと想定される。そのもとで、脱炭素社会の実現に向けた取り組みをはじめ、SDGs達成に向けたモメンタムも一段と加速してきている。わが国では、コロナ禍に伴って、地方経済の持続可能性がこれまで以上に問われている状況にあるだけに、こうしたグローバルかつ包括的な動きをビジネスチャンスとする余地がないか、探求していくことも重要と考えられる。

 鹿児島経済同友会は、こうした認識のもと、産業活性化、魅力ある郷土づくり、交流人口創出、教育・人材育成、環境・エネルギー、先端技術研究、ダイバーシティの各委員会を設け、諸課題の検討・提言に引き続き取り組み、鹿児島経済の輝く未来の創造に貢献していくこととする。

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